2012年3月16日金曜日

問題だらけの文科省の放射線副読本

昨日、文科省が作成した問題だらけの放射線副読本を生徒に配布しないよう、県に要請を行いました(要請文は下記)。文科省は1400万部も刷ったそうです。
副読本→http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1313004.htm

教育をよくする県民会議の横山由美子代表委員が、要請書を手渡しました。

小学校児童用→http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1314118.htm

小学生向けの副読本は、柔らかいイラストが多用されており、まったく放射能の怖さが伝わりません。また、チェルノブイリ事故や福島原発事故で何が起きたかについての記述もありません。また、現段階では解明されていない科学的知見について、一方的な情報のみ提供しています。これは大問題です。現代の科学的知見で解明されていないことについては、両論を併記すべきです。

棒線部は副読本

私たちは、自然にある放射線や病院のエックス線(レントゲン)撮影などによって受ける放射線の量で健康的な暮らしができなくなるようなことを心配する必要はありません。これまでの研究や調査では、たくさんの放射線を受けるとやけどを負ったりがんなどの病気になったりしたことが確認されていますが、一度に100ミリシーベルト以下の放射線を人体が受けた場合、放射線だけを原因としてがんなどの病気になったという明確な証拠はありません。しかし、がんなどの病気は、色々な原因が重なって起こることもあるため、放射線を受ける量はできるだけ少なくすることが大切です。

この記述は本当に正しいのでしょうか。医療被曝について元放医研の崎山比早子さんは、日本は世界で一番医療被曝が多く、年間一万人が医療被曝によってガンになっていると警告を発しています。
崎山さんのインタビュー
http://www.jpnodong.org/sakiyama.pdf

また、年間100ミリシーベルトまで問題ないは、本当にそうなのでしょうか。ECRR(欧州放射線リスク委員会)は、しきい値について別な見解をもっています。文科省はICRP(国際放射線防護委員会)の見解に立っていますが、副読本であるならば当然ECRRの見解も載せるべきです。

浜岡原発で働いてた島橋伸之さんは、10年間で50ミリシーベルトの被曝をして白血病になり亡くなりました。これは、労災認定をされています。この労災認定を文科省はどう考えるのでしょうか。

『知られざる原発被曝労働』
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/00/1/0033300.html
「隠された被曝労働」(動画)
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-d30d.html

中学生用副読本→http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1314159.htm

棒線部は副読本

ICRPでは、仮に蓄積で100ミリシーベルトを1000人が受けたとすると、およそ5人ががんで亡くなる可能性があると計算しています。現在の日本人は、およそ30%の人が生涯でがんにより亡くなっていますから、1000人のうちおよそ300人ですが、100ミリシーベルトを受けると300人がおよそ5人増えて、305人ががんで亡くなると計算されます。なお、自然放射線であっても人工放射線であっても、受ける放射線量が同じであれば人体への影響の度合いは同じです

この記述もICRPの見解に立った上での内容です。これも一つの科学的根拠の見解ですから、決して現段階で正しいものとは言えないのです。それにしてもひどい例えです。300人に対して5人しか増えないと読みとってしまうのは穿った読み方でしょうか。

このような一方的な記述が文科省から出されるのは大問題です。これを根拠にして学校で授業が行われることを考えるとぞっとします。この副読本をが「権威」となり、各学校で放射能対策が取られたらどうなるのでしょうか。生徒に行き渡らないよう新潟は取り組んでいきます。

                                          
2012年3月15日
新潟県教育委員会
教育委員長  栗田 修行 様
教 育 長  武藤 克己 様
                                  教育をよくする新潟県民会議
                                   代表委員   横山 由美子
                                            森   貞子

「放射線等に関する副読本」の学校配布に関する要求書
 
 日頃、新潟県の教育の発展のためにご尽力いただいていることに心より敬意を表します。
 
 さて、文科省は東京電力福島第一原子力発電所重大事故で放出された放射性物質による人体への影響などに不安を抱いている人が多いと考え、放射線について解説・説明した「放射線等に関する副読本」(以下、「副読本」)を作成しました。この「副読本」は、各都道府県教育委員会を通じて各学校から希望を取り、希望のあった学校には文科省から直接郵送し、各児童・生徒に配布するとしています。
 
 この「副読本」に記載されている内容は、自然界にある放射性物質やレントゲンなどに放射性物質が利用されていることが説明されており、自然界の放射性物質やある特定の目的に利用される放射性物質を強調することで、損傷された原発から放出される放射性物質に対する安心感を与えようとしています。事故により飛散した人工でしかも、不特定の人々に影響をあたえる放射性物質を一緒くたにしたものとなっています。また、原子力発電重大事故による放射線量の基準値も暫定的なものであり、その基準値の根拠の正当性についても説明はありません。今、必要なことは、子どもたちに放射性物質の危険性を知らせ、その悪影響から身を守ることを教えることです。
 
 新潟県には福島から多くの子どもたちが避難してきています。この「副読本」の内容は、その避難してきている子どもたち、および家族に対して、「避難する必要はないのでは」「過剰反応ではないか」などの視線を向けさせられる恐れがあります。このことは、子ども同士・あるいは親同士の人間関係に不要な亀裂をうみかねません。原子力発電所の重大事故により、放射性物質被害に不安を感じている地域住民や避難者、市民に対して余りにも配慮のないものとしかいえません。
 
 このように内容に問題のある「副読本」にもかかわらず、貴委員会は、この「副読本」を各学校に配布するよう文科省に対して要請したと聞きました。私たちは上記の理由から、貴委員会が,このように判断したことに対して強く抗議するとともに、下記のことを要求しますので、速やかに私たちと会見され、誠意ある回答をされるよう求めます。

                        記

1.文科省作成の「放射線等に関する副読本」を希望した経緯を明らかにすること。
2.文科省から各学校に郵送される「放射線副読本」を子どもたちに配布しないよう、各校長を指導  すること。
                                               以 上                               
                                                                        

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